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オルタードスケール、トライトーンサブスティテューション(裏コード、代理コード)も全て1ポジションで把握する方法 - ハイブリッド ダイアトニックコード

7/12/2016

2 コメント

 
オルタードスケール、代理コードなどを一カ所で把握する方法…つまり、ドミナントの時に自由に弾くためのアイデアをシェアします。

オルタードスケールは、トライトーン サブスティテューション(代理コード、裏コード)と一緒にサークルオブフィフスから紐解くと分かり易いです。

今回の記事では、オルタードスケールと代理コードの情報整理をし、トニックから4度進行で並べました。

全てを円に納め、全体を見渡せるようにしました。

これでメジャースケールとオルタードスケール、それに伴う12音のコードのパターンが分かります。

便宜上、​ハイブリッド ダイアトニックコードと呼ぶ事にします。

また、対称となるダイアトニックコードをシンメトリック ダイアトニックコードと呼ぶ事にします。
​
Altered chord substitutions from Hitoshi Kawai


全てを1カ所で把握する - 5つの手順
​


  1. ダイアトニックコードをEADGCサイクルで弾く
  2. シンメトリック ダイアトニックコードをEADGCサイクルで弾く
  3. トライトーン サブスティテューションを混ぜる
  4. オルタードスケールをダイアトニックコード化する
  5. ハイブリッド ダイアトニックコードをEADGCサイクルで弾く

オルタードスケールだけを学んで混乱するのは当然です。

他の情報と関連性を見いだせないからです。

スケールをスケールとして学ぶから混乱が生じるのであって、ハーモニーから学ぶと実は分かりやすいです。

ですので、おそらく雑誌や教材にある教え方とは真逆のアプローチかと思います。


記事で使う資料のダウンロードは、Contactページからメール登録して下さると、ダウンロードページに飛びます。

すでにメール登録して下さった方は再度登録する必要はありません。今回の資料のダウンロードページのリンクはニュースレターで送信していますので、そちらからお願いします。
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画像
学びの肝となる5つのステップ。デスクトップに保存して練習しましょう。


1. ダイアトニックコード(円の半周)をEADGCサイクルで弾ける?
​

まず前回の記事、ダイアトニックコードのコードトーンを一カ所で把握するには?をマスターしている事が前提となります。

それができないとこの先は理解不能となるので、まだという方は読んで下さい。

実際やってみて、EADGCサイクルでダイアトニックコードを一カ所で弾くだけでも十分、という方もいらっしゃるかもしれません。

​
ですので、まずは円の半周を習得して下さい。

ただジャズ的なアプローチを求めるならば、円の半周だけを練習すべきでない事が分かります。

なぜなら、アウトサイドの音は円の反対の半周にあるからです。


それを掘り下げていきます。
​

では、反対の半周はどうなっているのでしょう?


2. シンメトリック ダイアトニックコード - 
アウトサイドの音の仕組みが簡単に分かる
​

シンメトリック ダイアトニックコード=2つの対称となるダイアトニックコードです。

サークルオブフィフスの円で、一つのダイアトニックコードを指定すると、そこに対称となるダイアトニックコードも存在します。

Cのダイアトニックコードでいうと、FとB(4と7)を共通音としたGb(F#)のダイアトニックコードが存在します。

​
ハッキリ分かります…よく眺めて下さい
シンメトリック ダイアトニックコード
シンメトリック ダイアトニックコード - 2つのキーが対称となっている


カギは円の直径、なぜ4と7なのか?
​

​前回の記事では、ダイアトニックコードを一カ所でサイクルに従って弾く説明をしました。

その中で、1−4−7−3−6−2−5というコード進行を紹介しました。

これは4−7を除いて、完全4度進行 (EADGCサイクル) をなぞったものです。


Cのキーに置き換えてみましょう。

C - F - Bm7b5 - Em(7) - Am - Dm - G7 となります。

最初のC - F は4度ですが、そのまま4度で進むとBb、Ebというようにキーから外れます。

サークルオブフィフスの円を見ると、ダイアトニックコードの並び方が4から始まり7で終わっています。

4−1−5−2−6−3−7という順に並んでいますね。

「1から順に並べば簡単なのになぜ4からなんだ!」と思うかもしれませんが…

実はここにカギがあります…
​
オルタードスケールとシンメトリックダイアトニックコード


トライトーン(半音部分を結ぶ線)を共有=国境と捉えると分かりやすい
​

4度=4番目の音というのはスケールでいうと半音です。

ドレミファソラシドで言うと、ファの部分です。

そしてもう一つの半音が7度(シ)で、ちょうど4の反対に位置しています。

この半音部分2つを結ぶインターヴァルはトライトーンです。

トライトーンは不協和音で、強烈な緊張感を与えます。

ちょうど国境のような機能、と言えば分かり易いかもしれません。

国境
は両方の文化が入り交じり、どちらのものかよく分からなかったりして
強烈な違和感があります。


トライトーンにはインヴァージョンがありません。

円の直径は、右から回っても左から回っても同じ距離です。

つまり、同じ響きなのです。この理解が大切です。



普通インターヴァルは、2つの見方があって…

例えば、CからGを見ると5度なのですが、GからCを見ると4度という具合です。

見る位置によってインターヴァルも、響きも変わります。

要するに2つの顔があるのです。
​


ところがトライトーンはどちらから見ても同じ、響きも同じです。


この理解がとても大切です。

トライトーンはどちらからも同じように見えて、錯覚を起します。

つまりどういう事かというと…
オルタードスケールを理解するために


4を対称のキーの7に見立ててしまえば、国境を越える
​

シンメトリック ダイアトニックコード…便宜上、勝手に僕がそう呼んでいるだけですが、2つのダイアトニックコードを繋ぎます。

両方のダイアトニックコードの7がトライトーンを共有するので、すり替えてもあまり違和感を感じません。

同じトライトーンの響きが、錯覚を起すのです。


こうして円を一周する事ができます、試しに弾いてみて下さい。

円全体で2つのダイアトニックコードを同時に捉えます。


その理解から全てが始まり…

トライトーンサブスティテューション(代理コード、裏コード)や、オルタードスケールに繋がります。

​
オルタードスケールの説明は多くの場合、オルタードエクステンションをスケールにしたものとあります。

確かにその名の如く、エクステンションを変形(Alter)させたもの、という理解です。


それでもいいのですが、それが代理コードの理解と分断する原因と気付きました。

つまり別物と感じてしまい、まとまり感が得られません。
​

ですからシンメトリック ダイアトニックコードから紐解く事が、情報の点と点を繋ぐカギです。

また、頭で理解するだけでなく、耳と身体で覚える事も大切です。

まずシンメトリック ダイアトニックコードを弾いて、響きに耳を慣らすといいです。

実は簡単です、EADGCサイクルを使えば…
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EADGCサイクル=左回りで円を一周


シンメトリック ダイアトニックコードをEADGCサイクルで1ポジションに仕込む
​

上図の度数で見れば、クロマティックの12音だと分かります。

1−4に進む時に、4をメジャーの変わりにハーフディミニッシュドを弾いて見て下さい。

そしてEADGCサイクルに従って、b7-b3−b6−b2−b5−7のコード進行を弾くとそのままトライトーン上のダイアトニックコードとなります。


コードの性格が変わるよりも、4度進行のパターンの方が強力なので違和感があまりないのでしょう。

それほど4度進行というものは自然かつ、耳に馴染むものなのでしょう。

だから部分転調の多くも2−5の応酬なんでしょうね。


度数で示すと、特定のキーの先入観がなく12音だと分かります。

これが後に説明するトライトーンサブスティテューションの半音進行の理解を助けます。



ではキーがCの場合…

CメジャーからFでなく、Fm7b5 (ハーフディミニッシュド)を弾きます。

BbmもしくはBb7 - Ebm - Abm - Db7 - Gb - Cb の順です。

​
Fm7b5 - Bb7 - Ebm - Abm - Db7 - Gb - Cb と弾いた後に、 Cbを4メジャーからm7b5 (ハーフディミニッシュド) に変形して見て下さい。

Cbm7b5 = Bm7b5 ですよね?Cのダイアトニックコードに戻るのです。



これで円にある2つのダイアトニックコードで1周できます。

トライトーンを含む7がお互いに、自分の位置を錯覚したような感じです。


「それで?だからどうした?どんなメリットがあるんだ?」

と思うかもしれませんので…


​


どんなメリットがあるのか?
​

シンメトリック ダイアトニックコードを、EADGCサイクルで仕込めば、以下のような効能があります。

  • 複数の複雑な情報をサークルオブフィフスで一括して理解できる
  • 身体で覚えられる
  • 全てを一カ所で把握出来る
  • 特定のポジションだけでなく、指板全域で弾けるようになる

動画解説で使われているPDFはダウンロードページから保存できます。
シンメトリック ダイアトニックコードとトライトーン サブスティテューション(裏コード、代理コード)Symmetric diatonic chords and tritone substitution from Hitoshi Kawai


3. トライトーン サブスティテューション -
代理コード、裏コードを一カ所で把握できるようになる
​

シンメトリック ダイアトニックコードをEADGCサイクルで仕込みました。

これで一カ所で12のコードが把握できたので…

トライトーンサブスティテューション(代理コード、裏コードと呼ばれるもの)の理解に繋がります。

また、そこから派生してオルタードスケールのダイアトニックコードも理解します。
​

​例えば…


G7を弾く時に、G7b13#9 - G7b13b9 と動きませんか?

オルタードスケールがこれにフィットすると教えられますが、コード分解すれば多くの選択肢が生まれます。


スケールや、オルタードエクステンションとして見ていても分かりづらいと思いますが…

G7b13#9 - G7b13b9 とは、上述のすり替えられた4と7のコードです。

Gをベース音にして、Cbmaj7 - Fm7b5 を弾いて見て下さい。

Cbmaj7のGb音(5th)がGとぶつかるので厳密には#させる必要もありますが、それは後で説明します。

要するに、対称のダイアトニックコードを知る事で、アウトフレーズの選択肢が格段に増えると言う事です。

​
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まずは対称の5ドミナントで代理(すり替え)が簡単
​

G7に対称となるDb7もコードの構成音に4と7(単音)を共有するので、すり替えによく使われます。

外れているのに、大丈夫な感じがするのはトライトーンを共有するからです。

4つのコードトーンのうち2音は同じ、外れているのは2音だけです。

G7に対してDb7の構成音は…

  • Db = #11
  • F = 3
  • Ab = b9
  • B = 7

ルートはベーシストに任せて、あなたがDb7を弾けば全体でG7(#11b9)という響きとなります。

それはアドリブソロをシングルラインで弾く時も同じコンセプトです。
​


次のコードはこれです…↓

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トニックマイナーに解決するための3ドミナントをすり替えるのも簡単
​

実はトライトーンを含むコードは他にもあります。

トニックマイナー6に解決する前の3コードをドミナントにする事はよくあります。

それで代理するのも簡単です。


ここで気付かれたでしょうか?要するに、半音進行となるわけです。


​因に、4つのドミナントを合わせるとディミニッシュドスケールになります。

今回はディミニッシュドの説明までしませんが、4つのドミナントを線で結ぶとちょうど円を4分割します。

それだけで、ディミニッシュドが全てシンメトリックであると分かります。

これは部分転調にも役に立つアイデアです。


トライトーンの関係はすり替え、挿入可能
​

ドミナント同士はすり替えやすいと分かりました。

ところがトライトーンを共有せずとも、対称のコードをすり替える事はあります。

​お互いがトライトーンの関係であれば、すり替えや挿入可能なのです。


下図を見て下さい、これでほとんど半音進行になりました。
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トライトーンサブスティテューション=半音進行、対称の2−5の挿入と考えるとシンプル
​

トライトーンサブスティテューション(代理、裏コード)は半音進行になる事が分かりました。

シンメトリック ダイアトニックコードをまず理解し、円で対称のコードをそれぞれすり替えるだけです。

​まとめると下の手順です。


  1. トライトーンを共有するハーフディミニッシュド同士がすり替え可能
  2. 同じくトライトーンを含むドミナントコード同士もすり替え可能
  3. コンセプトを拡張し、トライトーンを含まないコード同士もすり替え
  4. すり替えだけでなく、対称の4度進行のブロックを挿入

お互いがトライトーン同士の関係であれば、すり替え可能になります。

これも、コードの中にあるトライトーンが与える錯覚から紐解くと、分かり易くなるのです。

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スムースなフローにする秘訣とは?
​

ところがギターでトライトーンサブスティテューションを弾いても、しっくりこない方は多いかもしれません。

最も遠いトライトーンのインターヴァルですから、ヴォイスリーディングに配慮が必要なのです。

これはコツさえ掴めば簡単で、インヴァージョンやドロップ2ヴォイシングに秘訣があります。

名前は知らなくても大抵の人は、ある程度のフォームはすでに弾いています。

「ああ、これか。これの何が大切なの?」

という反応になるかもしれませんが…

適当に知っているレベルでなく、確実に理解し弾けるでしょうか?

4つの7thコード全てを、ルートポジションと3つのインヴァージョンでドロップ2で弾けるようになりましょう。

この機会に、時間を費やして身につけましょう。


ドロップ2を使ったトライトーンサブスティテューション の スムースなヴォイスリーディング
​

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全てが半音で横につながる
​

ドロップ2ヴォイシングを用いると、2声(または4声)が半音で動きます。

ドミナントとハーフディミニッシュドの場合は共有するトライトーンがありますので、それらはキープします。

ですから他の2音(ルートと5)だけが移動します。

それらがお互いにトライトーンで動くと、結果的にもとのフォームの半音隣になります。

​つまりスムースな横の動きになるのです。

この理解が大切で、アルペジオをそのまま弾いてもスムースに聞こえます。

ソロでの応用になります。
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ルートポジションと2ndインヴァージョンの組み合わせで、簡単な隣り合わせのヴォイスリーディングとなる
​

トライトーンサブスティテューションをスムースにするヴォイシングの組み合わせがあります。

​ルートポジションと2ndインヴァージョン、そして1stインヴァージョンと3rdインヴァージョンの組み合わせです。

4つのコードタイプを見れば一目瞭然で、全てが半音で繋がります。

​ちょうどフォームが開いたり閉じたりするイメージで覚えれば良いのです。


ドミナントとハーフディミニッシュドは上図をチェックして下さい。

下はマイナーとメジャーです。

このように、ルートポジションと2ndインヴァージョンをセットにすれば、見事に全音が半音隣に移動します。

​そしてスムースに聞こえます。
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1stインヴァージョンと3rdインヴァージョンのセットが隣り合わせのヴォイスリーディングとなる
​

このように数学的にやるときれいに収まるので怖いくらいです。

ヴォイスリーディングをあれこれ考えなくても、すでにこんなパターンがあったのです。

これを仕込めば、バッキングとソロにワンポイントのアクセントを簡単につけられるようになるでしょう。
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トライトーンサブスティテューション ドミナント 
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トライトーンサブスティテューション ハーフディミニッシュド
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トライトーンサブスティテューション マイナー
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トライトーンサブスティテューション メジャー


シンメトリック ダイアトニックコードとトライトーン サブスティテューションをマスターするために
​

円のコードを辿って見ましょう。

4度進行で1周できたら、半音進行も混ぜて見ましょう。

そこから色んなルートを辿るよう工夫しましょう。

代理コードに慣れて来たら、今度はオルタードスケールも同じような理解が可能になります。


そしてやっと、ハイブリッド ダイアトニックコードの説明です。

まず下図を見て下さい…
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ファイルのダウンロードはContactページからどうぞ↓
オルタードコードとスケール Altered chord and scale  from Hitoshi Kawai


ハイブリッド ダイアトニックコードとは?
​

勝手に名前を付けてしまいましたが、言い得た表現かもしれません。
​
ダイアトニックコードにトライトーンサブスティテューションの概念や、オルタードスケールのダイアトニックコードも混合して理解するからです。

ジャズ的な手法が難解なのは、その膨大な情報量にあります。

複数のキー、オルタードエクステンションなど多くの情報がそれぞれ説明されます。

ところが情報をつなげる作業は、個人が経験によって処理するよう委ねられている感じがします。

それで全く構いませんが…

そのせいか僕を含め、「木を見て、森を見ず」という状態の人が多いです。

または情報の森に彷徨って出られない人も多いです。


情報のつながりの説明が断片的なので、大きく捉える事が困難です。

その問題を解決する必要があると思いました。

1つの円に納められるようにすれば、EADGCサイクルで1ポジションで全ての情報を捉えられるわけです。

トニックやドミナントから全体を見渡すようになり、まとまり感を得られるでしょう。

結果、情報の出し入れがシンプルになります。


4. 円を使えば、オルタードコード / スケールの仕組みを理解できる

ハイブリッド ダイアトニックコードの別の要素、オルタードスケールのダイアトニックコードについて説明します。

シンメトリック ダイアトニックコードを理解していれば、微調整を施すだけです。

難しくはありませんが、相違点を把握しなければなりません。

繰り返しますが、この順序が大切です。

大抵、オルタードスケールを最初に学ぶので混乱するのです。

その後にシンメトリックダイアトニックコードを学んでも類似点に気づく事が難しいです。

部分的に気づく事もあるでしょう。

​しかし、そもそもシンメトリックダイアトニックコードに微調整を加えたものがオルタードスケール、というシンプルな考え方には至らないでしょう。

​
下図はオルタードコード/スケールです。


オルタード/スケールは、ルート以外全て対称のキーからの音を使用

ルート以外全てと書きましたが、実際は3と7は共有する音です。

もしオルタードスケール/コードだけを学ぶなら、コードトーン1357のうち、137以外対称のキーの音を使うと理解するでしょうが…

ダイアトニックコードとして、コード分解するならば、ルート以外の全てを対称のキーから使うと理解しましょう。

そうでないと、情報の整理がシンプルになりません。
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一旦、ダイアトニックコードでなく、スケールとして円を見ます。

そして改めて、2つのキーがトライトーンを共有し、対称となっている事を確認して下さい。
​
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G7を例にします。

G7の構成音はG B D Fですが、最低限ドミナントの響きをもたらすために必要な音はGBFの3音です。

ルートと37のトライトーンを含むだけでドミナント感を演出できます。



すこし話がそれますが、この理解は大切で、コード楽器をシェアする場合のマナーとも言えます。

例えば、相方がリッチなヴォイシングを弾いていたら、自分は137だけにしておくという対応です。

そうすれば、スペースを提供していると気付いてくれるでしょう。

相方が代理コードを交えて、二人でG7の響きを演出するのです。


GをルートとしてBFを37と扱いましたが…
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ルートGの対称となるC#(Db)を選び、BFを見てみますと…
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Gに対しては、BFは37だったのが、C#に対してはBが7、Fが3となります。

ルートだけでなく、3と7もそれぞれ役割がすり替わります。

G7の対称のC#7、(Db7)となる事が分かります。
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この形を覚えつつ、Gをルートとして全てを結んでみると…
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見事な長方形ができます。

これはG7b5になります。

これまで5を度外視してきたのに、突然b5となりました。

それはGに対し、トライトーンであるC#がb5だからです。

b5を、#4や#11という表記もしますが、同じ音です。

では、オリジナルの1357のG7を一度チェックしましょう…
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Dが5となります。いびつな四角形になります。

​ではDの対称の音を見て見ましょう。
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G#(Ab)が対称の音となります。

これはC#7の5thです。
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先ほどのG7のいびつな四角形と対称の四角形が出来上がりました。
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G7として捉える場合、G#をまぜると紛らわしくなります。

そこでAb、つまりb9(b2)と表記します。

ルートはルートとして何も変化させないという考え方です。



#11(#4、b5)は
普通のエクステンションという扱いです。

11(4)はコードトーンである3の半音上になり、コード感を損なうからです。

一般的にはアヴォイドノートとして、使わないとされています。


普通のエクステンションである9、13を使った後、他に使える音を対称のキーから探すような捉え方もできます。

それがルートの対称である#11となります。

このように対称のコードから導き出すと、b9がオルタードエクステンションとして現れるのが自然だと分かります。

なぜならルートの次に強力な音である、5の対称の音だからです。
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そして普通のエクステンションである、9と13(6)の対称を見るとこうなります。

G7のオルタードコードは要するに、Gをルートとしてその他は対称のキーの音を全て使っています。

これをもし、C#をルートとすれば、普通のエクステンションを全て足したものとなります。

この場合、オルタードスケールでなく、リディアン7thと呼んでいます。

さて、オルタードスケールがルート以外は対称のキーからの音だと理解できたでしょうか?


この後、オルタードスケールをダイアトニックコード化しますが、大体察しはつくかと思います。

つまり、シンメトリックダイアトニックコードと重複する部分が多いという事です。
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スケールに並べるとオルタードスケールになる
ファイルのダウンロードはContact ページからどうぞ
ハイブリッド ダイアトニックコード Hybrid diatonic chords from Hitoshi Kawai


全てを4度進行にパターン化すると、指板が理解できる - ハイブリッド ダイアトニックコード
​

ハイブリッドダイアトニックコードは便宜上僕が作った呼び名です。

オルタードスケールをコード分解し、ダイアトニックコード化します。

これは、上述したC#リディアン7thスケールのダイアトニックコードという考え方もできます。

もしくは、メロディックマイナーのダイアトニックコードとしても説明できるでしょう。


しかし、一つの円に全てを把握すると考えれば、シンメトリック ダイアトニックコードからオルタードスケールを導き出すのが最もシンプルです。

​サークルオブフィフスの中に組み込まれているので、4度進行のパターン化できるからです。


ただ、少し修正を施す必要があります。

そこが要なのですが…
ハイブリッドダイアトニックコード


G♭の代わりにGに修正すればいいだけ
​

例えば、Gオルタードスケールの場合

Gルート以外はシンメトリック ダイアトニックコードからの音を使います。

ここで問題なのはGbです。

GオルタードスケールにGbは含まれません。

GbはGの半音下、つまりF#なのでメジャー7の響きなのです。

Gbの音を使うコードがあると、G7に対してメジャー7(Gb)を弾く事になります。

それでGbを含むコードに微調整をし、GかFに変えてやらなければいけません。


では、Gbが含まれるコードは?

1624です。

1=トニック(ルートがGb)と6=トニックマイナー(3rdがGb)です。

2サブドミナントは7thがGb、4サブドミナントは5thがGbです。

​
これらのコードに微調整したものは、メロディックマイナーのダイアトニックコードと同じになります。

「なーんだ、ハイブリッドダイアトニックコードとか言っても結局それか」

と思ったかもしれません。


でもAbメロディックマイナーのダイアトニックコードを単独で覚えても、実用的でしょうか?

普通のダイアトニックコードとシームレスに、4度進行に落とし込むのが肝です。

では、修正が必要な4つのコードを見て行きましょう。

下図のように変わります…
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7つのアルペジオだけでも十分
​

このように一連のパターンで把握できると、数練習の意義が増します。

かなり複雑ですので、指と耳に馴染ませる必要があります。

しかし一旦、押さえ方と響きに慣れれば、後は自由になります。


これをスケール的な覚え方と比較すると、選択肢に大きな違いがあると分かります。

フレーズのアイデアが、線的な思考から解放されるでしょう。


単純に上図の7つのコードのアルペジオを弾くだけで十分機能します。

インヴァージョンにしたり、コードフォームに沿ってアルペジオしたり…

それだけで沢山の選択肢があります。


これらを一つずつ試して、気に入った響きを使えばいいと思います。

練習するときは一つの代理コードをEADGCサイクルで弾けるようにしましょう。

最初は円の全部を辿ってどんなものかを把握するといいです。


しかし使う前提で練習する時は、好きな代理コードをG7に対して5つのポジションで弾けるようにした方が実践的です。

慣れてきたら別の代理コードを試しましょう。
​
さらにG7と組み合わせたり、他のコードと組み合わせたり…無限にあります。

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オルタードスケールのダイアトニックコードをEADGCサイクルで弾く
​

オルタードスケールのダイアトニックコードを円に組み込んで、これをEADGCサイクルで練習します。

そうすれば難解な音楽理論の肝となる部分を、反復練習で機械的に仕込む事ができるでしょう。
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全てを組み込んで把握出来るように
​

シンメトリック ダイアトニックコードはトライトーン サブスティテューションを、一カ所でサークルオブフィフスに沿って理解するものです。

そこに微調整を施したものが、オルタードスケールのダイアトニックコードになります。

それら全てを混合し、一つの円に4度進行に納めたものをハイブリッド ダイアトニックコードとします。
​
画像


​指板全域のコードの並びはこうなっている
​

EADGCサイクルとCAGEDシステムの組み合わせで、下の詳細な地図ができました。

12音をそれぞれルートとするコードの並びを覚えるという、シンプルな話になりました。

現実的なパターンであり、神話ではなくなりました。

下図は小さすぎて見にくいですが、メール登録していただくと、PDFファイルとしてダウンロードできます。

​デスクトップに保存して、大きな画像で練習して下さい。

​
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上図はEADGCサイクルで(1弦も含まれてますが)2弦のシフトが含まれてません。


​トニックを辿れば、CAGEDの5エリアで分割されるのが分かります。

僕はこのパターンの方が見やすいですが、中には2弦のシフトが必要な方もいらっしゃるかもしれませんので、下図を用意しました。
​

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このように矢印を追えば、EADGCサイクルに慣れるでしょう。

2弦のシフトを逐一書かずとも、無意識にルートが2弦では半音上がるようになるといいですね。

ただ、これをいつも眺めてやるのも目が疲れますので、やはり円の方がシンプルです。

これまでCトニックで説明してきました、そのせいでCのキーしか対応できなくなってしまうかもしれません。

下図のようなニュートラルなローマ数字表記で度数で覚える事をお勧めします。


ローマ数字表記で度数で覚える
​

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アラビア数字で覚える
​

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複雑な理論を身体で覚えられるようになる
​​

EADGCサイクルの発見で、​ギターの音の配列の把握がシンプルになりました。

大抵はスケールを学んだ後、各音のハーモニックな位置づけを分析します。

しかし、逆にコードから学ぶとシンプルに情報整理されます。



まず対称となる2つのダイアトニックコードを、EADGCでサイクルで弾けるようにする事です。

それに微調整を施し、オルタードスケールのダイアトニックコードも同じサイクルに納めるだけです。


​まず単純にコードをじゃらんと弾いて度数と響きを捉えます。

これを繰り返し練習し、身体で覚えます。

理論は難しいですが、、頭で理解するだけでは意味がありません。

耳と指で覚えるメソッドがいいです。

​
​

身体で覚えて、イメージで弾けるようになれば幸いです。

「こんな感じのテンションが欲しければこう弾く…」くらいに抽象化できたらと思います。

​


終わりに
​

このアイデアに価値を感じるのは、経験を積んでいる人だけかもしれません。

表裏一体のキー、トライトーンの代理などのトピックをすでに知っていた方も多いでしょう。

また、普通に使っている方も多いでしょう。

でも正直なところ、リックに仕込まないと使えないというのが大半ではないでしょうか。

僕自身、コード分解で弾くのが好きなのですが、ポジションの把握に悩んできました。
​


シンプル化はプロセスが大切だと思います。

蓄積された経験が理解を深める役割を果たします。



「ドミナントにはオルタードやディミニッシュド、ホールトーンスケールなどが使える、でも何で?」

と雑誌に書かれたタブ譜の音を弾きながら、疑問に感じませんでしたか?


僕も、完成形だけの説明だと理解に苦しみました。

それでも使ってみましたが、弾いていて確信が持てませんでした。

​雑誌にはさらっと「ドミナントのb3rdからマイナー7コードで代理」なんて書かれていても…

「なぜ?」

と思いながらも

「そうするのがクールなのか…」

と鵜呑みにしてやっていただけでした。

b5の裏コードはカレッジで学びましたが…

理論との関連性を部分的に見いだしても、全体の把握が出来ませんでした。


​
自分なりに分析しながら来ました。

あなたも同じではないでしょうか?
​
そういった知識の断片と疑問と経験の蓄積があってこそ、サイクルに落とし込んだ時、腑に落ちると思います。


備忘録がわりにシェアする

一度読んだだけでは消化するのは難しいと思います。

​備忘録がわりに学んだ事を一言添えてシェアして下さい。

次回読みなおす時に、気になったポイントをすぐに思い出せます。

「どんな内容だったかな?」と最初から読む必要もなくなります。

是非このブログに費やして下さった時間を、有効活用して頂きたいです。


また、シェアして頂けるとより多くの方にこの情報が届きます。

ブログの応援として有り難く頂きます。


読んで下さりありがとうございました

最後まで読んで下さり、感謝します。

どうかこの記事があなたにとって有益なものとなりますように。

これからもEADGCサイクルのシリーズは続きますので、是非楽しみにしていて下さい。
2 コメント
佐々木
5/29/2022 12:11:45 pm

数年前に拝見し、今回久しぶりに読み返させて頂いています。
とても深い内容でまた再び感動しています。

返信
ひとし
6/23/2022 12:02:04 pm

佐々木さん、コメントが遅くなってすみませんでした。

読み返して下さって、とても嬉しいです!
この記事は難解ですよね。
でも、じっくり取り組むと、色んな気づきが得られます。

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