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L.A.92  -  ロス暴動の思い出 - ポッドキャスト 第9回

1/24/2018

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ロス暴動-92年、僕がちょうどいた頃です。

人種差別とか暴力、強奪などのネガティブな話は避けたいですが、それではリアリティがありません。

当時のL.A.は、治安が超絶に悪かったです。

美しいサウスベイで暮らしていたのは、安全を金で買う意味もありました。

それが何を意味するか…「L.A.92」というドキュメンタリーを観ていただければ、完全に納得するでしょう。

今回のエピソードは「L.A.92」(下に貼ってあります、是非ご覧ください)を観た感想も交えて話します。

​


南カリフォルニアの超ダークサイド
​

僕は超ポジティブな性格で、いいことしか覚えていません。

嫌なことは、無意識に蓋をしているようです。

でも、L.A.92というドキュメンタリーを観てぞっとしました。

真空冷凍保存が解凍され、臭いまで蘇りました。


バイオレンスとは何か?人間はどこまで狂ってしまうのか?閲覧には注意が必要です。


最低の時代
​

あの時のまま、全てをみる事ができます。

当時、数ヶ月でしたがトーレンスという町の安全なエリアに住んでいました。

僕は数日に渡り、テレビで似たような映像を繰り返し観るに終わってましたが…

この作品は、2時間足らずに凝縮されており、吐き気を催すほど恐怖でした。

初めて観る映像(忘れたのかも)が沢山ありました。
​

でも、あの景色、車、黒人やメキシカンの当時のファッション、ニュースキャスターたちの顔…

僕がいた時の、そのままが映し出されています。

何というか、
26年ぶりにL.A.に戻ったような気になりました。


普段思い出すのは、美しい南カリフォルニアの風景です。

でも映像から見られるもの、実はこれも本当に、当時の現実なのです。

僕の住むサウスベイからほんの15分、…そして30分も走れば完全に、このデンジャーゾーンに突入でした。
​

「ああ、まさにこんなんだったなあ…ようこんなとこ住んどったなあ」

と26年ぶりに懐かしい恐怖と再会して複雑です。


​


背景
​

ひどい治安には、根深い憎しみがありました。

ロドニーキング(交通違反をした黒人)を白人警官たちがリンチする動画が、テレビに流れ続けた事が引き金となりました。

裁判で白人警官たちが無罪となり、黒人コミュニティの怒りは沸点に到達しました。

時を同じくして、韓国人の女性店主が、彼女ともめた客である黒人の女の子を銃殺しました(ラターシャ ハーリンズ事件射殺事件)。

その女性に対する判決の刑の軽さに、黒人コミュニティが爆発しました。


最初は黒人対白人警官という感じだったのですが、終わってみると黒人対韓国人の戦いとなっていました。

「その事件だけで、コミュニティ同士の戦いに至るのか?」

という疑問があるでしょう。

実は白人よりも韓国コミュニティの方が、日々の生活レベルで摩擦がありました。

僕でさえ前兆は感じていました。その2年前…

  事件の重要な要件として、暴動がはじまったサウスセントラル地区の人口比率の変化が挙げられる。

サウスセントラルはかつて黒人地区であったが、ヒスパニック系が居住者として取って代わるようになり、一方では韓国系アメリカ人がそれまで黒人の所有していた酒屋や雑貨店などを買い取って商売をはじめていた。

国勢調査によれば、歴史的に黒人居住地区であった場所におけるヒスパニック系住民の増加率は119%に達していたという。こういった地区では商店などの経済競争が人種間の憎悪を高めていった。

​それまで黒人が一手に引き受けていた単純労働は、半分の賃金で働くラテン系移民へと移っていった。

また、韓国人(コリアンアメリカン)による極端とも言える黒人蔑視などもあり、韓国人商店と客である黒人住人との関係のみならず、黒人社会と韓国人社会全体が明確に断絶していた。黒人住民たちは韓国人商店の客扱いが酷く商品が値上がりしているとの不満を持っていた。  
- Wikipediaからの引用
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コンプトン
​

自動車免許の試験場が、コンプトンという町にありました。

用事があっても、決して行きたくないエリアでしたが…

前回のエピソードで話したように、僕は何度か落ちたので、何度かそこに行かざるを得ませんでした。


試験を受けている間、兄はただそこで待っていました。

「お前、コリアンか?」

そばにいた黒人に、兄は訊かれました。

「いや、違う…日本人だ。」

「そうか、ならいい。」

と言ったあと…

「ついこの間もコリアンが殺られたぜ、気をつけろよ」

90年だったと思いますが、そういう緊迫した状況でした。
​

​その時はなぜ韓国人が?としか思えませんでしたが…
​

住みながら、多くの個人ビジネスで韓国人は根を張っている事に気づきました。

ガソリンスタンドや花屋、リッカーストアなど、僕の住むサウスベイでも、韓国人はパワフルでした。

特に黒人エリアでは、強力だったようで…それが問題でした。
         もうひとつの主たる襲撃目標となったのが韓国人商店である。襲撃による被害額の半分弱が韓国人商店のものであるともされる。韓国人商店主らが防衛のために拳銃を水平発射しているシーンも幾度となくテレビにおいて放映された。

ちなみに彼ら韓国人店主らの多くはベトナム戦争の帰還兵だった。ベトナム戦争に参加した韓国人帰還兵に米国政府が移住許可を与えたため、70年代に韓国系移民が4倍も増えた。

彼らは主に競合相手のいない黒人街で商売を始め、従業員には黒人でなくヒスパニック系を雇い、閉店すると店を厳重にガードし、そそくさと韓国人街へ帰るというスタイルで商売していた。

黒人の間では「自分達を差別しながら商売する連中」というイメージが定着し、そうした黒人による日頃からの韓国系への鬱憤が、暴動時の韓国人商店襲撃へと結びついたといわれている[2]。
​
暴動鎮圧のために州兵は元より、4,000人を超える連邦軍(陸軍、および海兵隊)部隊までが投入され、さらには司法省が、ロドニー・キング事件について、公民権法違反(第7篇。人種差別行為禁止)容疑でのFBIによる再捜査をアナウンスするなどの努力によって、6日間にわたった暴動はようやく収束を見た。    
- Wikipediaからの引用
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良くも悪くも歌はパワフル
​

どの時代も歌は大衆の心を掴んできました、いや代弁してきたというべきか。

​でもこの場合、結果的に煽ってしまったとも…

タイミングが悪いと、言論の自由だけで済まない状況にまで到達します。
  1991年11月5日、ラッパーのアイス・キューブはアルバム“Death Certificate”を発表。このアルバムのなかに収録された“BLACK KOREA”という曲において、韓国系アメリカ人の経営する商店で、黒人の少年少女が入店すると、商店主が万引きしないか猜疑のまなざしで見たり、後をつけたりすることを歌詞でのべ、黒人社会と韓国人社会間に存在する軋轢を描いた。

曲の最終部では、韓国系アメリカ人による黒人への侮蔑的な態度に対する鬱積した怒りを次のように表現した。

「So pay respect to the black fist or we'll burn your store, right down to a crisp. …Cause you can't turn the ghetto - into Black Korea ……"I do fuck you!"
黒人に敬意を払え でなきゃお前の店をカリカリになるまで黒焦げにしてやるぞ お前らはゲットーをコリアタウンに変えることなどできない "本当にブチ殺すぞ!"」
​
発表時期とその歌詞内容からして、この曲がラターシャ・ハーリンズ射殺事件に代表される状況を指しているのは明らかであるが、この曲がロサンゼルス暴動の火付け役になった可能性は否定できないであろう。 - Wikipediaからの引用 


煙が立ち上る
​

テレビでは四六時中暴動のニュースが流れていました。

群衆が我先にと店の商品を奪う光景、放火しまくる暴徒の姿が映し出されていました。

もうどうにも止まらない…
​

おぞましい状態が、我が家から30分も離れていない所で起きているのです。

煙が立ち上るのが、家の外に出るとかすかに見えました。

事態がさらに深刻化していくと予想され…


非常事態宣言発令
​

​外出禁止になり、とんでもない状態になったと思いました。

​ドキュメンタリーでは916件の火災があったと話していましたが…

Wikipediaでは3600件の放火、と記録されています。


ギャングというより、裏にいる誰かが計画的にやったのでは?と疑います。

たった数日で、黒人コミュニティのわずかなギャングが成せる数字とは思えません。


群衆を煽動し、巨大化…

​放火と破壊、強奪する暴徒の煙が、次第に近づいてきたのです。

30分圏内が、最後は15分圏内にまで至りました。

日系人が多く住むエリア(ガーデナ)にまで火の手が伸び、真剣に焦り始めました。


「まさかここまでは届くまい…」

と思いながらも、不安でした。

「ここは白人エリアだ、復讐しにくるか?」


​
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何もなくなった
​

2日くらい夜外出禁止だったと覚えています。

食料を備蓄しなきゃとスーパーマーケットに向かいました…


「あかん…」


日本でいうと、西友よりも大きなスーパーです。

店のあんな姿を見た事ありません、陳列棚が真っ白にむき出し。

全ての商品が無くなっていました。
​

自分の身は自分で守るアメリカ人です。


「甘かった…やっぱり外人は動きが早いな」

当然、現金を引き出そうとしても、ATMも空っぽでした。


家にあったのは缶詰が少しだけ、困りました。


戦うコリアン
​

白人警官、白人種への怒りをぶつけていたはずが、次第に様子が変わってきました。

​黒人対韓国人との戦いになりました。

銃を持って撃ち合う姿、命がけで戦う姿をTVで見て

「すごいなコリアン…」

「日本人はここまで根性あるかな?」

と思いました。


ただ、その一方で

「それ以前に日本人はビジネスのやり方が違うから、揉める事もないか」

と思いながら眺めていました。


軍が出動
​

鎮火するきっかけになったのは、軍がようやく出動してからです。

警察では手に負えず、実際黒人警官しか派遣できなかったそうです。

白人警官が突っ込んで行ったら、間違いなく皆殺しになったでしょう。

数日間、警察が機能しない。

無法地帯という言葉が何を意味をするのか…


ドキュメンタリーを観ると分かる
​

人種問題や暴力、強奪の全てを、リアルに映し出します。

やらせでも、フェイクでもありません。

これは全ての日本人に観て欲しいです。

​
差別や暴力がこんなにいけないものか、と恐怖と吐き気がしました。

正義のためとはいえ暴力を肯定すると、ここまで行ってしまうと。

映画、ゲームや漫画など暴力を煽るコンテンツを消費する人は、特に観て欲しいです。

リアルな暴力、リンチが延々と続く映像を観たら、暴力をエンターテイメントに使うなど絶対、反対せざるを得なくなるでしょう。


そうでない人も是非観て欲しいです。

僕がいた南カリフォルニアの、悪い面も知って欲しいだけでありません。

ミクロレベルですが、将来日本も似た問題を抱える可能性はあります。


日本の外国人コミュニティ
​

僕は仕事柄、外国人労働者の酷い現実を見ています。

またブラジル人キリスト教会に所属しているため、友人も多いです。

外国人コミュニティのリアリティは日本人とあまり接点はないでしょう。


​本当に酷い話を聞きますが、ここでは割愛します。
​


需要と供給だから仕方ない、と目を瞑るのか…

現代版奴隷制度は拡大し続けています。

​いつの日か鬱憤が爆発するでしょう。


複雑なのは、対日本人だけでなく、コミュニティ内にも色々あるからです。


​ロドニーキングのその後
​

事件の引き金となったロドニーキングは2012年に亡くなってました。

ロスアンゼルスに対し訴訟を起こし、$380万ドル(約4億円)もらったそうです。

プールで溺死、47歳、変な死に方です。

これを知り、また複雑な気持ちになりました。


数時間前に飲酒、大麻を吸っていたそうです。

「結局そうか…」

警察は事件性を否定しますが…

事件前も執行猶予付きの身分だった彼、変わるどころか、もっと複雑になっていたのかも。


暴動により大金を得ました。

黒人コミュニティに対し、どう生きたのかが難しいところです。

​妬み、恨みも相当あったでしょう。

ギャングとの絡みも避けられなかったでしょう。


差別とか人種間の暴力より、そもそもコミュニティ内の犯罪も相当です。

迷惑を被ってきた善良な人々の、悪に対する怒りや抵抗も含めると複雑です。

ありきたりになりますが、教育って大切だなと思いました。


パーティーの後
​

今回話が壮大すぎて、そこから何を得るのか?と混乱するかも知れません。


ドキュメンタリーの終わりで、興味深いシーンがあります。

狂騒に乗じても、結局やり直さないといけないのです。

無駄な労力、費用、全て自分にのしかかるだけです。


パーティーは終わり、自分たちで焼き払った、自分たちの町を、自分たちで掃除する…


虚しい、本当に虚しい姿です。

不毛すぎる、愚か過ぎます。

暴力反対に一致団結する姿が素晴らしい、と結びたいのは分かります。


​同胞により焼き討ちにあった黒人のビジネスオーナー、大部分の暴動に加担しなかった人たちは、あまりに気の毒です。
​​

日本の震災からの復興の努力と比べてしまいます、同じ瓦礫の町でも中身が違いすぎる。


影響を与える
​

ここから学びがあるとすれば…

個人レベルで日常的なものとして受け取る、でしょうか。


周りを見渡せば色々あり、細かい諍いは絶えずあります。

仕事でも、家族の中でも、夫婦間でも。

自分の心、脳内で。



「スモールバージョンなだけ、彼らと何ら変わらないな…」


アドレナリンに煽られて、怒りをぶちまけて何になるか?

一瞬は気持ちいいでしょうが、その後が面倒です。

​
相手を傷つけ、嫌な思いになり、関係修復のために時間と労力を費やす…

もしくは密かに憎しみを引きずる…
​

小規模ながら、日々繰り返してしまうのです。

愚かで、情けなくなりました。

あそこまで最低なものを見ないと、我に帰れなかった事も含めて。

​
「究極に不毛だ。時間と労力を費やす価値などない」
​


知恵が、頭が良くなりたいと思いました。

​身の回りの、小さなところから始めるしかないな、と。

「怒りをおそくする者は勇士にまさり、 自分の心を治める者は城を攻め 取る者にまさる」 (箴言16:32) ​

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