インバージョン=展回形をCAGEDから紐解きます。アドリブにはコードトーンの理解が不可欠で、まさにここが正念場と言えます。基礎でありながら、微妙に複雑になって行きます。 すでに弾いているものもあります。 知っているようないないような…で放置している人も多いでしょう。 勉強したみたら、複雑で奥が深く圧倒されてやめたというパターンも。 アドリブでこれがとても大切なトピックだと知らない人が多いです。 だからここが迷宮の入り口だと言えるでしょう。時間をとってじっくり学ぶ必要があります。 ポイントは、CAGEDのフォームをどれだけ深く理解しているか?です。 |
ここを理解すれば、難しくならない
多くの人がインヴァージョンでつまづくのは、その前の段階を理解していないからです。
つまり、知っていると思っている上図を理解していないからです。
インヴァージョン、ドロップ2とかドロップ3など、難しい用語に感じるかも知れません。
ヴォイシングの種類に過ぎません。
Cフォームのクローズドはピアノで弾きやすい、1357(ドミソシ)です。
このタイプはギターでは実用的でなく、非常に限られています。
大半がドロップ2と3です。
普通に弾いている - ドロップ2
パワーコード系のEADのフォームがそうです。
ドロップ2の音楽理論上の説明はここではしません。なぜなら無意味だからです。
7thコードをピアノで簡単に1357と弾くところを、3をスキップしてトップに置いています。
結果としてこうなるのですが、このように2番目の音をトップに置くのを、ドロップ2と言います。
下図でCAGEDシステムのDフォームがドロップ2になっているのをチェックしてください。
Aフォームも1弦を弾かなければドロップ2です。
ドロップ3
ドロップ2同様、音楽理論上の説明はここではしません。なぜなら無意味だからです。
ベースから1弦飛ばすやつです。
例えば、Eフォームのメジャー7の場合、1735です。
1357の35を後ろへ移動しています。
結果、ベースと分離されておりスッキリ聞こえます。
Cフォームの1357と比較すればよく分かるでしょう。
因みにAフォームも、4弦の5thを弾かずに、1弦の5thを弾くならドロップ3となります。
用語を整理する
- ルートポジション
- 1stインヴァージョン=3rdがベース
- 2ndインヴァージョン=5thがベース
- 3rdインヴァージョン=7thがベース
ドロップ2=2番目の音をひき抜いてトップに配置するものと考えて下さい。実際は、音符を用いての説明が必要です。しかしギタリストには余計混乱を招くので、ここでは敢てしません。
インヴァージョンに当てはめる
- ルートポジション=1573
- 1stインヴァージョン=3715
- 2ndインヴァージョン=5137
- 3rdインヴァージョン=7351
ドロップ3=2、3番目の音をひき抜いてトップに配置するもの(これも実際は違います)
インヴァージョンに当てはめる
- ルートポジション=1735
- 1stインヴァージョン=3157
- 2ndインヴァージョン=5371
- 3rdインヴァージョン=7513
ドロップ2と3で20個のフォーム
ルート+3つのインバージョン=4種類
があります。
その4種類に対して…
ドロップ2と3の押さえ方がある、ここまでどうですか?
そして、ドロップ2と3は作れるフォーム数が違います。
ドロップ3が5、6弦ベースのフォームしか作れないのに対し、ドロップ2は4、5、6弦ベースのフォームが作れます。
ドロップ3は1本弦をスキップするため、4弦ベースのフォームが作れません。
つまり…
ドロップ2=4インバージョン x 3(4、5、6弦ベース)=12
ドロップ3=4インバージョン x 2(5、6弦ベース)=8
ここまで来ると、圧倒されてしまうかも知れません。
取りこぼしなく突き詰めると、合計20個のフォームがあります。
そこからさらに4種類の7thコードに変形させます。
つまり、80個です。
だから…
仕組みが分かればシンプルになる - 絶対に暗記してはいけない
ここに辿り着くまで、80個だと示しませんでした。
なぜなら全てCAGEDの5つのフォームの変形に過ぎない、そこにフォーカスして欲しかったからです。
80個という数に圧倒されてないで下さい。
では、インヴァージョンの仕組みを見ていきましょう。
まずは下図の原型をもう一度チェックしてください。
最も一般的と思われる押さえ方にも、混乱の罠があります。
それぞれ違うタイプだと知ってましたか?
ひとくくりにメジャー7の押さえ方、と見ていませんか?
ドロップ2の1stインバージョン
CAGEDの中間エリア、もしくは二つのミックスと捉えてください。
全く別物というイメージから単なるCAGEDの変形だと気づくでしょう。
同音異弦に過ぎない
難しいようで、実は全く同じコードなんです。
フォームが違うので混乱するかも知れませんが、よく見ると結構似てませんか?
それは2弦のチューニングのズレによるものです。
では2ndインバージョンを見て見ましょう。
2ndインバージョン
ただ、Gフォームからスタートして最後にC+Aに繋ぐ方が、同音異弦だと分かりやすいです。
最後の3rdインバージョンはシンプルです。
3rdインバージョン
シンプルに覚えましょう。
ドロップ3
結構簡単なので、あまり説明もいらないかも知れません。
と言いつつも、ドロップ3の5弦ルートは僕はあまり使わないので、うまく弾けません…
1stインバージョンもドロップ2と比較しましょう。
では2ndインバージョンもチェックしてください↓
最後に3rdインバージョンです。
全てはCAGEDのフォームからの変形だと分かりますか?
これらを4種の7thコードに変形
これを元に、ドミナント、マイナー、ハーフディミニッシュドに変形します。
できる人は是非トライして下さい。
今回はインバージョン、ドロップ2、3について説明しました。
特にドロップ2はマイクロポジションでコードトーンを把握するために重要です。
アドリブをするために最も強力なツールとなるでしょう。
見渡せるチャート
インバージョンとはベースがどの音になるか?だけの話です。
その他のコードトーンはどう押さえてもいいのです。
最初のチャートは、その理解を促すものです。
この図は練習のいいお供になります。
なぜなら、コードトーンの把握のためにルート以外の音から始めるパターンを視覚化できるからです。
今回はベース音のみ度数が書かれており、その他を自分で吟味すると理解が加速するでしょう。
1stインバージョン 4種の7th
2ndインバージョン 4種の7th
3rdインバージョン
展回が苦手なので、このページでじっくりやっています。
どうしても移動ド(ルート基点)でコードを見てしまう癖が抜けません。
3度、5度、7度ベースのコードが欲しいと思って
パっと手が動くのはまだまだです;
個人的に4弦3度をベースのM7のコードがマイナーコードより寂しい響きに感じます。
ベースとトップの3度と5度が強調されて短3度が余計に強調されてる?とも思いましたが、構成はM7なので自分の耳の感性が拙いのかと思って色々考えていました。
Yutaka kさん、コメントありがとうございます(^^)
インヴァージョン、難しいですよね。
例えば、個別に覚えずにコード進行のパターンに組み込んでみてはいかがでしょう?
暗記より、音の流れで把握できる分覚えやすくなるかと思います。
それからネックに垂直方向にインヴァージョンを弾くのもいいですよ。
例えば、Cのアルペジオを6弦8フレットからスタートし、各コードトーン上にインヴァージョンを弾くのも覚えやすいかもしれません。
6弦や5弦ベース上でインヴァージョンを、横移動するのは運動能力を必要としますよね。
ただ演奏の場面であまり使わないかもしれません。
ですので僕は軽視しています(^^;)
CAGEDシステムの終盤はドロップ2(インヴァージョンも含む)で極狭エリアでダイアトニックコードを弾いています。
そちらも参考になるかと思いますので、良かったら読んで下さいね。
Yutaka Kさんは、4弦ベースの1stインヴァージョンがマイナーより寂しく感じられるんですね。
感性が拙いなんてことありませんよ、僕はすごく奇麗な響きだと感じます。
僕はそれを真ん中2つの半音でぶつかっている部分に感じます。
でもYutaka kさんはベースとトップにマイナーを感じる、すばらしい分析じゃないですか(^^)
そういう「なぜ?」を自分なりに掘り下げていくと、価値観がハッキリしていきます。
それがご自身のスタイルにつながっていきますので、個人的な感じ方をどんどん増やしていって下さいね。
同じコードでも、感じ方、捉え方が違うなら使い方も変わってくると思うのです
いつも感心しながら活用させて頂いてます。
四種の7thコード1stインヴァージョンドロップ2の項目でドミナントとマイナーだけトップが7thとなっているのですが、トップは5thではないのでしょうか?
かとうさん、コメントありがとうございます!
ご指摘の箇所は僕のミスです、良く学んで下さってますね。
本当に嬉しいです。
算数のように決まりきった配列になっているので、忘れようがないですね。ご指摘ありがとうございました!