ギターでアドリブするための、指板の構造とコード理論の学び- HKGuitar
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ブルーノートをいつどこでも繰り出せない?ギタリストの致命的な欠陥を克服するための5つのアドヴァイス

11/8/2016

2 コメント

 
ブルーノートをいつどこでも弾けるか?と尋ねると、出来ない、よく分からない、と答える人は多いです。これはギタリストにとって致命的な欠陥です。

​なぜならルーツに根ざしていない事の現れだからです。それを克服するには、何よりも時代を遡ってルーツ音楽を聴く事ですが…

それだと抽象的過ぎるので、具体的にどんな点に気を付けるべきか、5つ挙げてみました。
​
  1. クォータートーンを使う
  2. 安全な音で始めて、終える
  3. フレージングに気をつける
  4. フレージングを鍛えるための簡単な練習法
  5. 巨匠たちの演奏をよく聴く


ブルーノートは始めは不快で当たり前

ドレミファソラシドの基礎と異なるものが、アメリカの音楽にはあります。

それがブルーノートなのですが…色んなスタイルに浸透しています。


なぜブルーノートをいつでも繰り出せないとダメなのか…?

それがルーツだからです。

「といっても黒人系の音楽だろ?」

と思われるかもしれませんが、白人だけのカントリーミュージックやフォークでもブルーノートは出てきます。それほど自然なものです。


ファンクとはもともと黒人の体臭に語源があるらしく、ブルーノートもそんな嗅覚に訴えるような不快さを持っています。


完全に不協和音なのに、オーケーなのです。クラッシックの理論とは相容れません。

でも逆に、理論で割り切れない曖昧さがたまらないのです。

そこに黒人のリアリティを知るだけでなく、誰の人生にも共感するところではないでしょうか?

理想と現実、白黒とグレーゾーンみたいな矛盾を長く生きるほど、経験します。


日本にはブルースはないのか?いや、どこにもあると思います。社畜という言葉に代表される暗い現実があります。

日本には奴隷制は存在しませんが、生かさず殺さずというやり方はほぼそれに近いです。

だからこそ共感し、魅了されると思うのです。


それで、この掟破りができなければ、ニセモノなのです。

というよりそれが普通とならなければダメでしょう。
​

メジャートライアドに対し、マイナー3rdをぶつけるのがそのやり方ですが…


1.クォータートーンで違和感が若干和らぐ
​

違和感があり過ぎて出来ない、という人も多いです。

だからちょっとヒネリを加えましょう。

僕の推測の域を超えませんが、ブルーノートは厳密にはメジャーとマイナー3rdの中間である、クォータートーン(半音のそのまた半音)が本当かもしれません。

マイナー3rdを若干ベンドアップすると得られます。

聴覚的にもクォータートーンは、メジャー3rdっぽくも聞こえるので不思議です。


その方がマイナー3rdを思い切りぶつけるより、扱いやすいかもしれません。

b7やb5も同様です。

気持ち悪くて弾けない方は若干ベンドしてやるといいでしょう。



因に(1/4)の音程はピアノには出せません。

理論を教えるのに通常ピアノを用いるからか、都合が悪く単純にマイナー3rdとしてしまったのか…?

もし仮にそんな経緯があったのだとしたら、ギタリストはなお多用すべきではないでしょうか?


クオーターベンドやブルースペンタトニック主体のギターソロは、ギターという楽器が一番らしく聴こえるスタイルと言えるでしょう。

我々ギタリストは、ピアニストにはないこれらの音を、十分に味わおうではありませんか。
​

では、単純にクオータートーンを弾けばそれらしくなるのか?

それだけでは上手くいかないでしょう…


2. フレーズの始めと終わりをルートか5thにするとやりやすい
​

動画では1−6−2−5のコードチェンジでブルースリックを弾いています。

メジャー7の響きにも普通にb7やb3を使います。

ところがその使い方はというと、フレーズの最初や最後、またロングトーンなどに使っていません。

実際は使いますが、サンプルとして敢えて避けました。

音使いに気をつけるまず第一歩として、ブルースリックの出だしと締めをルートか5thにする事をお勧めします。

そうするとその間はほぼ何をしてもオーケーだと分かります。


フレーズの最後の音は特に印象が強い
​

実はフレーズの中での音の価値は色々あります。

印象が強い音は以下の通り(他にもあるかもしれませんが)


  • フレーズの終わりの音
  • フレーズの最初の音
  • ロングトーン
  • フォルティッシモ
  • ピアニッシモ
  • スタッカート
  • なだらかなラインから逸脱した音


このような強い印象の音を避け、さりげなくブルーノートを挿入すればいいのです。

フレーズ最初と最後を埋める中間の音として使えば無難です。

この考え方は、アウトサイドの音を弾く時にも有効です。(ブルーノートも言ってみればアウトですが)

​まだ慣れていない人は経過音としてアウトサイドの音を扱うと、無理なく始められます。

それも一つの手法として、カッコいいです。

​さりげない使用法としてマスターしましょう。


さて、この使い方に併せて、シェアしたいNGがあります…


あなたはこれをしてませんか?ブルースフレーズを使い慣れていない人の例
​

ペンタトニックを適当に弾いている人はこんな初歩的な失敗をよくします。

ブルーノートの使い方以前に、やったらダメな音はあります。

例えば、最初のAコードに対してD音のロングトーンで始めたり…終えたりする場合です。

いわゆるアヴォイドノートという音で、聴けばおかしいと感じます。

ブルーノートの汚らわしい臭いとは別の違和感です。

耳を使って弾いていれば、​この音は自然に避ける(アヴォイド)はずなのですが…


でもとりあえずペンタというノリで弾く人はこの音を弾いて、しまった!という反応をしてしまいます。

もしくは変だと気が付かず、という事もあります。

レッスンをしていても、頻繁にあります。


これがマイナーブルースや、マイナーコード一発とか2−5だけの繰り返しの場合ならさほどおかしくありません。
​
​なぜか?

それもコードを知らないと、分かりません。

結局上達するに従い、スケールじゃなくコードをよく学ぼうという話しになります。

理論書で僕が持っているのは、マークレヴィンのジャズセオリーという本です。

​これはギタリストのためでなく、ミュージシャン全般に向けて書かれています。


使う事に慣れている人は?
​

上述の失敗例をする人は実に多いです。

僕がここで​ブルーノートを使う事に慣れていない、という判断は何なのか?といいますと…

12小節ブルースやロックのリフ、マイナーコードにあわせて、ブルースペンタトニックで弾けて当たり前です。

でもメジャー7のコードが鳴っていても、ブルースで弾ける人なら慣れている、僕は思うのです。


それで動画では、1−6−2−5という普通ならメジャーペンタで弾くコードチェンジにしました。


「オレはブルース大好きさ、何でもペンタ一発だ」

​と、何が来てもブルースで弾き倒せるといいですね。


結局のところ…


3.フレージングを明確にイメージできていれば良い
​

フレージングとは、フレーズを一区切りにして歌わせるみたいな意味があります。

つまり、どこで区切る、息継ぎ、まとまり感を出す、という類の意味です。

文章も、句読点があって初めて、分かりやすくなります。

それにより読み方に抑揚が付き始め、ただの文字の羅列に感情とかテンポをもたらしてくれるからです。

同じくフレージングも、一塊の音符をどう歌わせたいのか、どう持っていきたいのか、息継ぎも含めて表すことです。


フレージングを、「フレーズを作る」的な意味で使っている人をみかけますが、本来はそうでありません。


ブルースはいわゆるその歌いまわし、フレージングがそれでなければブルースに聴こえません。

ブルースペンタトニックを上下するだけではダメなのです。


少ない音=情報量が少ないという事ではない
​

まず歌うためには、音を2、3個に絞りましょう。

それでいい感じが出せないようなら、音を増やしても無駄です。

指が暴走しているだけに過ぎません。

​
ラリーカールトンがこう言っていました。

「音数が少ない、だから各音にはより多くの情報が込められている」

音数が多いという事は即ち、各音の価値というものは相対的に低くなります。

音数が少ないからこそ、感情を込めるスペースが多く残されているのです。
​
普通、速く沢山の音を弾けば、多くの情報が発せられていると思いますよね?テクニック的にも難しいと勘違いします。


でも、発音するだけでなく、音を選別するテクニックという視点で考えるとどうでしょう?

目には見えませんが、聴かせるための多くの情報が含まれているのです。

いろんな分野でシンプルにする方がより難解だと言われています。


いわゆるセンスという一言で片付けてしまうと、何となく神話がかって終わってしまいます。

でも掘り下げると理由があるのです。

音の置く場所、間の取り方、もたらせたり、つっこんだり、ベンドのスピードの調節、ピッキングで作る音色のグラデーションだったり…

それらは微妙なニュアンスで素人にはテクニカルに見えません。


僕にとってテクニシャンとは、テクニックなど微塵も感じさせず感動させられる人です。

ジャグラー(見せる)とマジシャン(見られたら終わり)の違いのようなもの、言っていいかもしれません。

同業者しか分からない工夫や技術が、素人には気付かれないように仕込まれているのです。


こう書くと、ミクロなニュアンスに意識を集中しろと言っていると思われるかもしれません。

確かにそういう練習も必要ですが、それだけだと心に突き刺さるようなダイレクトなフィーリングを損なう心配もあります。

​
で、ダイレクトに心に突き刺さるための練習方法なんて…あるんでしょうか?

そんな簡単には見つからないと思うのですが、参考になるかもしれないアイデアを紹介します。


4.フレージングを鍛える簡単な練習方法
​

これはHal Galperというジャズピアノの先生が教えている事で、すごくためになったのでシェアします。

ディジーガレスピー(チャーリーパーカーと並んで偉大なビバップのトランぺッター)がどうやってフレーズをイメージしているか説明しています。

​キチガイのように大声で歌う事が大切だと教えています。


動画の中である実験をしています。

  1. ピアニストに自分のリックを普段通り弾かせる
  2. 頭でそのリックを叫んで歌ってから弾かせる
  3. フレージングの明瞭さが明らかに違って聞こえる


我々も脳内で叫ぶくらいに大声でイメージしながら弾きましょう。

楽器は自分の脳内で鳴っている音を、表す器に過ぎません。

要するに楽器とは自分であり、ギターではないという事です。


ギターが楽器というのは幻想であり、自分の脳が本当の楽器だという論理です。

ギターだけを必死に練習しても、脳内で音が鳴っていなければ、マインドとコネクトされていないわけです。


だからフィジカルだけのスケール練習では意味がないというのは、ある部分では正解だと思うのです。

いや、有害ですらあるかもしれません。

自分とディスコネクトする弾き方を上達していくわけですから…

​間違ったハシゴをかけて必死に登っているようなものです。


脳のシグナルが、首、肩、腕から指を伝わり、結果としてアンプを通して聴こえて来る訳です。

脳がハッキリとしたイメージを得るには、鼻歌くらいの歌い方では足りず、全力で歌うくらいでなければシグナルが弱過ぎるというのです。(もちろんダイナミクスも加えますが)


テクニック云々の前に、頭で超ラウドに鳴っているかどうかで、すでに勝負はついていると言ってもいいでしょう。

それが小手先のテクニックという表現になるのか、ソウルフルと賞賛されるのかの違いに繋がるのかもしれません。


フレーズを脳内で叫ぶくらいに歌って弾く、それだけです。


これまでも「歌いながら弾くとよい」、という言葉は耳にしてきましたが今イチ抽象的で、なぜ?という具体的な説明が欠けていました。

でもこのアイデアはとても役立ったので、是非試して欲しいです。

英語が分からなくても、見るだけで大体分かりますので動画を貼っておきますね。


この論理を理解した上で、最後にもう一つフレージングを鍛える極めつけの方法を紹介します。

それは最もシンプルで大切な事に戻るとも言えますが…
​


5.巨匠と呼ばれる人たちをよく聴く
​

巨匠と呼ばれる人たちの演奏を良く聴き込みましょう。

そしてソロを一緒に大声で歌うのです。

素人には分からない独特なタイミング、細かいニュアンス、テクニックが盛り込まれています。


それらが脳に刷り込まれる事、それ以上の練習は無いと思います。



分かったフリしなくてもいいので、とにかく聞き込み、歌いましょう。

ドライブしながら彼らのフレーズを叫ぶように歌う方が、ギターを持つよりいい練習になるかもしれません。



ギターを持たず、まず耳で何か感じる事がテクニックの種です。

「なぜこんな風に感じるんだろうか?」
​
と自分が反応したものを分析し、そのメカニズムを学ぶのです。

必要なのは音に対する、素の状態の自分の反応です。

結局自分が気付けない音は、教えられても習得が難しいです。


だから無条件に聞き込む、しかも1枚のアルバムを何度も繰り返し聴く事が大切だと思います。

暗記し、共に歌い、何度も歌っているうちに、聴こえなかった音のニュアンスが聴こえて来るようになります。
​

その変化、成長を楽しみましょう。リスナーとしての成長、それが全てだと思います。

純粋に音だけに集中して下さい。

その点、動画はイメージが邪魔するので、どうかな?と疑います。


他人の意見より、自分がどう感じるか?
​

自分は音にどう反応しているのか?を大切に、素直に聴きましょう。

色んな人の意見も参考にはなりますが、自分の正直な意見を持ちましょう。

好きも嫌いもその時の意見です、正直な判断基準を持ち、尊重して欲しいです。


テクニックやルーツを知るために聴いていても、好き嫌いはハッキリさせて下さい。

無理に好きになろうとしてはいけません。

正直でなくなるからです。

価値観が分からなくなり、人の顔色を伺いながら演奏するようになります。



嫌いだったはずが、歳をとるに従いカッコ良く感じたりします。

反対に好きだった人が、アピールしてこなくなる事もあります。


みんな変わります。

​ならば、それを踏まえつつ今この瞬間の自分に正直な意見を大切にするしかありません。

こんにち心から演奏するとは、情報で汚染された雑念を振り落とす技術を指すのかもしれません。



​そんな中で、時代すら変わっても支持され続けている巨匠たちは、やはり聴く必要があると思うのです。


読んで下さってありがとうございました
​

今回は個人的な意見をかなり交えて書きました、いかがでしたか?

この記事があなたのお役に立てれば幸いです。

良かったら、FBのギタリスト交流会などでシェアして頂けると励みになります!

2 コメント
なおき
11/2/2016 04:39:53 pm

貴重な情報提供、いつもながらありがとうございます。
マーク・レヴィンのジャズ・セオリーは私も最近買いまして、目から鱗の日々を送っております。理論的かつ実践的な書でお勧めものですね。
これからもますますのご活躍を祈念しております。

返信
ひとし
11/2/2016 06:36:03 pm

なおきさん、コメントありがとうございます(^^)


あの本はギタリスト用ではありませんが、それだけに違う視点をもらえると思いました。

しばらく読んでませんでしたが、最も目から鱗という思いがしたのはストレッチング コードという概念です。

アンティシペイションとかディレイドリゾルヴというテクニックと同じですが…

フレーズをフライングするとか、延長して終わる視点でなく、チャートのコード自体を伸び縮みさせる的な視点が新鮮でした。

読んで下さり、ありがとうございました☆

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