コードトーンとブルースを基礎としたギターソロレッスン - HITOSHI KAWAI
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ギターソロは覚えたフレーズを並べただけではいけない - 素材を吟味する

9/10/2017

2 コメント

 
ギターソロを作るのに、テクニック、スケール、コードトーンの把握は基礎であり、他にも沢山の課題があります。覚えたフレーズを並べたものでは決してありません。

そこには身体的能力だけでなく、コミュニケーション能力が大きく関わります。

​ただ意識できるかできないか、で変わってくると思います。今回はフレーズの素材の角度に絞って説明します。

​


大きく捉える - ギターというより音楽、音楽というよりコミュニケーション
​

木を見て森を見ず、という罠に陥る事は誰にでもあります。

ジャズを学び始めた時に遡りますが…

トリッキーなパートも、地味なパートが上手くないとサーカスに終わると気づきました。

かっこいいフレーズも、それだけでソロが成り立っている訳でなく、色んな場面、伏線があるのです。

素朴な味の良さもあります。

また会話のように周りを巻き込み、巻き込まれていくのが醍醐味でもあります。

だからギターソロは覚えたフレーズを並べるだけではありません。

反応する能力が必要となります。

コミュニケーション能力とも言えます。
​
それら全てに心理的なテクニックは関わっており、演奏上の肉体的動作だけではありません。


すごく細かい事のように思える反面、会話のように当たり前な事と共通する部分が多いのです。

ミクロにこだわるあまり、マクロで考えられなくなっていませんか?


良いストーリーテラーとなる
​

僕は娘に絵本の読み聞かせをしながら、感動したものです。

絵本は素晴らしいです。

幼児にも分かる話で、大人には深い含みを味わわせてくれる話が多く驚嘆します。

素朴な雰囲気でありながら、メッセージは強いみたいな。

ただ読み手が機械的だと残念です。

言葉の意味、文章のもつテンポ、ダイナミクスなどを汲み取って読まないといけませんね。
​

アドリブの場合、自分のストーリーを自分で話さなければいけません。

絵本のように素朴にやってもいいと気づく事は大切です。


音数を減らして余裕をもちながら演奏する事をおすすめします。

その方がよほど楽しめますよ。

そして、そこにも実は磨くべき技術が沢山ある事に気づくと思います。

テクニックとか、音使いとかより、ストーリーに気を配るようになるからです。


特にペンタ一発でやってみるとそれが分かると思います。


難しい言葉を使えるようになるには、まず簡単な言葉で気持ちを込められなければいけません。

​逆戻りするようですが、それが真実です。

だからこそ、当たり前のように使ってきた素材を、改めて吟味する価値があります。


今回は簡単にできそうなトピックを紹介します。


​


素材の角度にフォーカスする
​

今回はフレーズをその角度によって分析します。

これはギターマガジン、高橋信博師がシェアしたものです。

​80年代半ばの記事でご存知の方も多いでしょう。

自分なりの理解も加えて紹介します。

大まかにフレーズのネタを分けるとこんな感じになります。

  • クロマティック12音
  • ディミニッシュドスケール8音
  • スケール7音
  • ホールトーンスケール6音
  • ペンタトニック5音
  • テトラッド4音
  • トライアド3音
  • インターバル2音
  • 1音のみ

なるほど、と思いましたか?いや僕はむしろ

「単一のネタだけでフレーズを作る訳がない」

「弾く長さも関わるのでは?」

という疑問があって欲しいところです。


簡単にフレーズの素材の分類という理解でよろしくお願いします。


クロマティックスケール
​

クロマティックは半音つなぎ、フレーズの角度は最も緩やかです。

とりあえず弾いていればどこかでコードトーンをヒットします。

そこでフレーズを終えれば全てよし、となります。

またロストした時の対処法ともなります。


ウネウネの無調性感、無重力感を演出すると楽しいです。

その楽しさを知ると、何やってもオーケーとフリーにやりがちなのです。


でも、どれだけ重力の縛りを感じさせられるか?のテクニックの基礎が使い方のセンスに大きく関わります。

重力を感じられる演奏(つまりコードトーンを弾く)とのバランスを決めるといいと思います。


ディミニッシュドスケール
​

ディミニッシュドスケールには2種類あり、平たくいうと

  • 全音、半音の繰り返し(ディミニッシュドコードに使う)
  • 半音、全音の繰り返し(ドミナントコードに使う)

となります。

8音のスケールでクロマティックに継いで、非常になだらかであると知りましょう。

普通の7音スケールは半音で繋がる部分が2箇所ですが、ディミニッシュドの場合、4箇所あるからです。

また運指でも各弦に3音ずつ配置されるので、なだらかなラインだと分かります。

4弦〜1弦にかけての運指はすごく簡単なので、クロマティック以外のなだらかなラインを始めるのに最高です。

​


スケール、モード=7音
​

多くのスケールは7音で、なだらかなラインです。

​半音で繋ぐ部分が2箇所あります。

​
ディミニッシュドやコードトーンと比べ、フレーズを鼻歌感覚で作りやすいです。

運指も覚えやすいです。


ホールトーンスケール=6音
​

ホールトーンスケールは全てが全音つなぎです。

半音が含まれません。

よってメジャースケールより若干鋭角に感じます。

​またメカニカルな感じが面白いです。

ただ、使う頻度は低いかも知れません。


ペンタトニックスケール
​

ペンタトニックは5音で使い勝手が良いです。
​

スケールとコードトーンの中間に当たります。
​
半音で繋ぐ部分がありません。

よってなだらかさ薄らぎ、カクカクし始めます。




メジャー、マイナーペンタトニックはコードトーン(135や1b35b7)を含みます。

マイナーコードはマイナーペンタで対処できます。

ダイアトニックコードの2、3、6のマイナーいずれもコードトーン+4となります。


メジャーコードもメジャーペンタで対処できますが、7thの使い分けができないと機能が判別できません。


そこを逆手にとり、敢えて7thをヒットしないやり方として考えるならいいでしょう。

​
フレーズの角度としてはコードトーンの3、4音よりなだらかとなります。


各弦に2音ずつ弾くことができオルタネイトで弾きやすく、スラーも加えやすいです。


ある程度コード感が出せて、コードトーンより跳躍が狭く弾きやすい、さらにブルースでは必ず使う…

​本当に使い勝手の良いペンタトニックです。


テトラッド、トライアド
​

テトラッドは7thコード、4音コードです。

トライアドは3音です。

なだらかさはなく、鋭角です。


僕にはテトラッド=四角、トライアド=三角というイメージです。

シンプルな音型は耳につきます。


四角、三角の音型をモチーフにして簡単にアウトフレーズができます。

最初にコードトーンを示しておき、あとで違うトライアドを弾いても何となくオーケーに聞こえます。


それぞれのインターバルが遠いので、音程を正しいかどうかの判断がつきにくいです。

脳はリズミックな要素の関連付けで理解しようとするのでしょう。


インターバル

インターバルはフレーズというより2点を繋ぐ線、棒のようなイメージがあります。

半音や全音のインターバルはなだらかですが、4度や5度以上になると角度が増します。

コードトーンなら鋭角でありながらもインサイド、ノンコードトーンで繋げば緊張感(テンション)を強調できます。

先ほどのテトラッド、トライアドと同様にイメージ化しやすいので、線、棒のモチーフを使ってアウトフレーズを弾きやすいです。


フレーズを分解、または大きく捉えれば全てインターバルにすぎない
​

少しずれますが、全てのフレーズはインターバルを元に作られていると考えられます。

分解すると、動きの最小単位はインターバル、フレーズはその連続といえます。


または大きく捉えて、フレーズの始点と終点を結ぶインターバルとも考えられます。


インターバル=始点と終点と大きく捉えると、その中間はどんな音を弾いても構いません。

この理解は大切で、詳細にとらわれる罠から救ってくれます。
​


ターゲットノート理論とは、単純な原理です。

2音のインターバルは直線、棒のイメージ、ターゲットノート理論のアウトフレーズはぐにぁぐにゃの線です。


また、シュレッダーの中間の音はミュートがかったノイズです。

始点と終点がしっかりしていれば、どれだけ音を盛り込んでもオーケーです。

それだけなので連発されるとうんざりします。



何をやっても良い自由と、ハーモニックな縛りの間を上手く立ち回れるようになりたいものです。


上下の動きのない、静止状態
​

この場合、1音だけを使ったリズミックフィギュアがそれに当たります。

ウエスがよくやりますね。
​

さらにいうと、シークエンスフレーズもその類です。

音は増えても、フレーズとして向かう先がなく、反復繰り返すのみだからです。

実際はシークエンスフレーズでも平行移動していく場合もあります。

厳密に静止と言い切れませんが、動きは少ないという事を知りましょう。

​


素材だけで判断はできない
​

単純に素材のもつ角度だけを説明してきました。

しかし、それだけで安易に使うのはいけません。

そこにはテンポや符割りといった時間軸が関わるからです。


例えばインターバルで、1拍でオクターブ弾くのと、1小節とでは鋭さは変わってきます。

また、スウィープで6連符でアルペジオをよく弾く人がいますが、早いテンポでディープな歪みだとインターバルにしか聞こえなかったりします。

あまりに速すぎると、中間の音が聞き取りにくくなります。

少しゆっくり気味の方がしっかり聴こえてかっこよかったりします。


時間軸をよく踏まえ、素材のもつ効果の表現を考えましょう。

​それだけではありません…


効果を考える
​

人間は相対的に感じます。

これはスピードが分かりやすいです。

高速道路から降りると、50キロが異常に遅く感じます。


フレーズも前後との関連で感じ方が変わります。

聴覚も慣れるので、いくら速いフレーズでも連発してはその効果は薄れる一方です。(そのさじ加減は個性に繋がるとも言えますが)

緩急の使い分けが大切です。


フレーズの角度も同じです。

スウィープで上下を繰り返す、スリリングに思うかもしれませんが知恵がありません。


例えばウエスモンゴメリーは、アルペジオを弾く前に1音のリズミックなフレーズを弾いたりします。

フレーズの上下のない静止状態にリスナーを引き込むわけです。

​
一瞬、あれ?どうしたの?と思わされます。

でも2、3回シンプルなリズムを繰り返されると、必ず次もこう来ると期待、予測させられませんか?

リズミックな動きにフォーカスさせられて、直後にアルペジオを駆け上がるというやり方です。

これはきついカウンターパンチです。



いかに感じるか?にフォーカスするほど、たった1音の動きでも効果的なテクニックに変わります。

この伏線を仕掛ける場合、シンプルなほどいいです。

リスナーがフォローできる露骨なものです。


各素材に馴れ親しむ簡単な方法
​

それぞれを個別の素材として捉え、練習する事も大切です。

しかしそれだと演奏に盛り込む際になかなかスムースに出てきません。

そこで簡単に自然に溶け込ませる為の練習方法を提案します。

これは僕がいつも意識している事で、どのジャンルにも通じると思うのでお勧めです。


​それは…


慣れ親しんだペンタトニックから音数を増減させる
​

ペンタトニックはコードトーンとスケールの中間であり、使う頻度も高いです。

これを軸に音を増減させると楽です。

ペンタトニックは各弦に2音ずつ配置されます。
​

その2音をクロマティックで繋ぐといいです。若干のアウト感が醸し出せます。


また各音からのインターバルを弾く、そしてモチーフとしてアウトしても使い慣れたペンタなら戻りやすいです。


また、ペンタ+半音として考えるとモードも分かりやすくなります。

メジャーペンタなら


  • 4と7=メジャースケール
  • #4と7=リディアン
  • 4とb7=ミクソリディアン

マイナーペンタ

  • 2とb6=マイナースケール
  • 2と6=ドリアン
  • b2とb6=フリジアン

ロクリアンはフリジアンのb5となります。


メジャー+マイナーペンタとすると、ミクソリディアンとドリアンのミックスとなります。

これで十分遊べます。


このようにペンタ中心に展開すると、音数やフレーズの角度をコントロールしやすいです。

もう一つ、インヴァージョンを苦手と感じている人のために…


メジャーペンタ−2=C6=マイナーの1stインヴァージョン

メジャーペンタはマイナーの1stインヴァージョン、という視点を持つと便利です。


スケールを弾くとき、大抵1オクターブ弾きませんか?

Cから次のCでスケール完結というやり方です。


そうではなく、CメジャーペンタならCDEGAで終わってみて下さい。

不思議なことにAで終わるとマイナーっぽく聞こえませんか?

そしてDを抜くと、C6=Am7の1stインヴァージョンとなります。


ちょっとした視点の違いをもつだけで、フレーズの幅が広がります。

大抵の場合、Am7ならAから出発しがちですからね。

このように慣れ親しんだペンタから色々導き出すと、自然なフレーズの繋がりを得やすいです。


​終わりに
​

冒頭に書いた通り、アドリブのテクニックはコミュニケーションのテクニックに通じます。

良いストーリーテラーになるには?と色々思いを巡らすのですが、たくさんあり過ぎます。

心理的なテクニックが大きく関わります。


そうなるとますますアドリブが楽しくなります。

緊張と緩和、期待と裏切り、欲しい効果を得る為の素材を吟味しましょう。

今回はフレーズの素材の角度について説明しました。

​この記事が役に立ったという方は、備忘録がわりに是非シェアしてください!

記事の更新をお知らせします

2 コメント
tatsuro hosi
9/16/2017 01:37:41 pm

いつも貴重な提言ありがとうございます。勉強させていただいてます。

返信
ひとし
9/16/2017 01:56:40 pm

コメントありがとうございます、とても励みになります!一緒に成長していきましょう!

返信

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